PCS 5項目 (私訳)

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(以下の訳文作成にあたり、フィギュアスケート資料室の該当資料も参考にさせて頂きました。


[スケーティング技術]

定義 : 
   総合的なスケーティングの質 : エッジ・ステップ・ターンといったスケートのヴォキャブラリーを駆使しての氷上での流れとエッジコントロール、技術の正確さ、加速やスピード変化の自在さ。

指標 :
   ・バランス、ひざのバネ、正確な足運び
   ・流れがあるか、力みの無い滑走をしているか
        リズム、力強さ、きれいなストローク、姿勢の傾きを効率よく使ってブレードに安定した推進力を生んでいるか、体重をうまく乗せることで無理な力を使わずに加速しているように見えるか。
   ・ディープエッジ・ステップ・ターンがクリーンで確実か
        クリーンかつコントロールの効いたカーブ・ディープエッジ・ステップを見せているか。
   ・パワー(エネルギー)・スピード・加速を多様に使いこなしているか
        ここで多様とは段階的な変化のことで、微妙なものも含まれる。 
   ・スケーティングの方向の多様性
        フォアとバック、時計回りと反時計回り、そのそれぞれのフォアとバック、等、全て。
   ・片足スケーティングの熟達度
        両足スケーティングが多すぎてはいけない。


[要素間のつなぎ]

定義 : 
   技術要素どうしの間をつないでいる、多様 かつ/または 複雑なフットワーク・ポジション・動作の全て。 技術要素への入り方や出方も含む。

指標 :
   ・多様性 
   ・難度
   ・複雑さ
   ・質
要素のつなぎの長短や、ブレード・体・頭・腕・脚をどのように使うかは、音楽に従属させて良い。(クロスカットは最小限とする。)



[演技力/実施能力]

定義 :   
   音楽や振付けの意図を表現するに際して、肉体・感情・知性がいかに活かされているかを言う。
   実施能力とは、動きの質と意図実現の正確さを言う。

指標 :
   ・肉体・感情・知性の活用
        スケーターは、全身を活用し心の底から演技して、音楽の理解と全ての動作とを両立させねばならない。
   ・身のこなし

        身のこなしとはトレーニングで染み込んだ体内の力であり、バランスを保って動作を楽に行える能力を言う。
         体の安定とは一つの動作から次へと流れるように移る能力を言う。
   ・スタイルと個性
        スタイルとは、音楽からの閃きのもと、独自性のあるラインを示したり動作を行なうこと言う。
        個性とは、プログラムの着想・様式・内容に加味される、スケーターの個人的嗜好と芸術的志向の総体を言う。
   ・動作の明瞭さ
        明瞭さは、洗練された体・手足のラインと、動作の正確な実施によってもたらされる。
   ・多様性と強弱
        テンポ、リズム、力、動きの大きさ、難易度、形、角度を多様に、また体の各部を多様に使っているか、また強弱をつけているか。
   ・投影(プロジェクション)
        エネルギーを放ち、観衆との目に見えないつながりを獲得しているか。


[振付け・構成]
定義 : 
   (要素の)プロポーション、統一性、空間、パターン、構造、フレーズ配置それぞれの原理に従って、全ての動作を計画的・独創的に工夫・アレンジすることを言う。

指標 :
   ・目途(理念・着想・ヴィジョン・ムード)

        プログラムがしっかりした意図に基づいた質の高いデザインになっているか。
   ・プロポーション(各部分のバランス良い扱い)
        構成の美しさを追究するにあたり、各部が等しい重要度で貢献しているか。
   ・統一性(全ての動作の有効な紡ぎ方)
        プログラムに統一性が生まれるのは次の場合 : ステップ・要素・動作がすべて音楽によって動機づけられている、また、
        全編を貫く通底的ヴィジョンや象徴的な意味があって、大小全ての構成部分が全体の中で必要不可欠なものと感じられるようになっている。
   ・私的空間と共有空間の利用
        動作の各フレーズが、360度全ての観衆との対話が成立するように配置されているか。
   ・スケートの軌跡 と リンクの使い方の広さ
        スケートの軌跡や滑走方向がバラエティに富み かつ それぞれが興味を引きまた意味を持つように、動作のフレーズをデザインしているか。
   ・フレーズとフォーム(音楽のフレーズに合わせた動作や各要素の構成)

        フレーズとは、ある動作が発生・生長・顕現そして帰結するまでの一連の流れを言い、楽に自然と次のフレーズへ流れる(べきものである)。
        フォームとは、発想の提示・展開そして帰結の様態を言い、部分を一定の数と順序で配置デザインすることによって表現される。
   ・目途(上記)、動作、デザインの独創性
        動作とデザインについて独自性のある見かたを持ち、もって音楽とその根底にあるヴィジョンに連動した創造的な構成を追及しているか。


[(スケーティング上の)曲の解釈]

定義 :
   氷上の動きを使った、音楽の個性的で創造的な翻訳/表現。
   音楽のテンポ・リズムを様々に使う能力。
   メロディ・リズム・ハーモニー・音色・音質・形式といった音楽の各基本要素から来るニュアンスを反映させるべく、微妙な技巧を使えるような、解釈の熟達度。

指標 :
   ・音楽に合わせた自然な動き
        リズムやテンポの正確さ・効果的な動作・無理のない流れを通して、音楽を氷上に表現/翻訳しているか。
   ・音楽のスタイル・特徴・リズムの表現
        プログラム全体を通し、音楽の特徴・スタイルを表現上 保っているか。
        メロディ・ハーモニー・リズム・音色・音質・形式など音楽の構造に喚起される、ムード・スタイル・形態・主題を、体とスケート技術を使って描写しているか。
        己れの存在と肉体とが全て、音楽の意図を表現することに関わっているか。
   ・音楽のニュアンスを反映させた きめの細かさ
        スケーター自らの洗練された巧みさで「ニュアンス」をきめ細かくあやつっているか。
       「ニュアンス」とは、作曲家や演奏者が音楽の緊張感・テンポ・力動性に微妙なバリエーションを生むために用いる個性的・芸術的な手法を言う。